ちょうど20年前の1994年のきょう、第1回目の気象予報士試験が行われました。
つまり今年で気象予報士制度が導入されて20周年を迎えます。
そもそもなぜ気象予報士制度は導入されたのでしょうか?
一言で言えば「天気予報を自由化するため」。
規制緩和がきっかけとなり、国の独占事業だった天気予報の門戸が民間企業にも開かれました。
国民一人一人が地域差なく、欲しいときに欲しい形できめ細かな気象情報を得られることが目的です。
そこで生まれたのが気象予報士制度。
時に命にも関わる天気予報があちこちでめちゃくちゃなことを言っていたら社会の混乱を招いてしまいます。
気象庁から提供された膨大な資料をきちんと利用できる技術者を確保するために気象予報士制度が導入されたのです。
7月1日現在、気象予報士として登録しているのは9055人。
もうすぐ1万人に達しようとしています。
この数字、みなさんは多いと感じますか?少ないと感じますか?
私はただただ増える一方の気象予報士制度に正直疑問を感じています。
去年、気象庁が気象予報士にアンケート調査を行ったところ、実際に天気予報の仕事に従事できたのは全体のたったの2割。
気象予報士試験は、予報業務を行うための必要最低限の資質を確認するに過ぎません。
実際、資格を取ってもそれはゴールではなくあくまでスタート地点に立っただけ。
気象庁から与えられた膨大な資料を適切に利用できる技術者にはなれないのです。
ますます民間の予報業務は多様化し、気象予測技術も高度化していく一方で、天気予報の仕事に従事できる人は限られている。
そんな環境では、気象予報士になった人が育ちようがありません。
これから気象予報士を目指す方には本当に酷な話にはなりますが、
新しい気象予報士を増やすことよりも、今の気象予報士を育てることに特化した方がいいのでは、と思ってしまうのは私だけでしょうか…?
CPD認定気象予報士制度の計画も進められています。
気象予報士自身の自己研鑽はもちろんのこと、こういった取り組みも今後もっともっと増えていくことを強く望むばかりです。