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ダイジェスト
社会派ブロガーのちきりんさんが世界中を旅して(50ヶ国以上も旅したそう)、考えたことや感じたことが書かれています。
自然や文化はもちろん、美術館や遺跡に至るまで、旅行中に遭遇するありとあらゆるものを、ただ「楽しかった」「すごかった」で終わらせず、ちきりんさんならではの目線で超分析されていて、旅の楽しさや魅力を徹底的に言語化してくれた一冊です。
これを読めば、教養と思考力に溢れたちきりんさんの頭の中を覗けます。
きっかけ
「自分の頭で考える力が欠落してる」
私の長年抱えた悩みをどうにか克服したいと思い、手に取りました。
でも、実際に購入したのは数年前。
買ったものの、なかなか読み進められませんでした。
私はこの本に自分の頭で考えられるようになる特効薬を期待していました。
でもその具体的な方法を与えてくれる本ではなかったんです。
自分に考える力やある程度の知識がないと正直この本は楽しめないと思います。
人間って知らないことに関して無関心だから。
この数年で、通訳案内士の資格の勉強をしたおかげもあってか、知識や考える力が多少増えて、ようやく私もこの本を楽しめるようになりました。
書いてあったこと
特に私が考えさせられた文章の一部です。
豊かな人生というのはあなたのように希望や自由や選択肢のある人生なんだ。
家を車やお金なんて持っていても私の生活は決して豊かとは言えない。
お金とは価値あるものが存在しない環境では何の意味も持たない。
自分が自国通貨を信頼できる国に住んでいることがありがたいこと。
普通に働くだけでそういった通貨が得られる国で生活していることの有利さは普段は意識もしないけれども実はものすごく恵まれたことなのです。
自分が生きるために他の動物を食べるという行為のあまりの厳しさに声が出なかった。
弱いものが強いものの糧となる。
それが自然界におけるシンプルなルールです。
私が今日生きている理由は、明日を生きるため以外の何物でもありません。
それが生き物の人生なのです。
難しいことを考えるのはやめて悩まずシンプルに生きよう。
サファリを経験して以来、私は迷いなくそう思えるようになりました。
欧州や日本では芸術は国家の責任範囲ですが、アメリカ合衆国では美術や文化さえ資本主義のルールの上に成り立っているのです。
歴史的な建造物や美術品とも言える工芸品の裏には、無数の無価値な命がある。
このことがきらびやかな美術品や巨大な建造物を鑑賞する時いつも頭に浮かびます。
後世まで残るのは石と砂でできた無機質な建造物だけ。
そう思うと日々のあれこれに一喜一憂することがなんだか馬鹿らしく感じられる。
命あるものは生きているその時こそうめいっぱい楽しんで過ごすべきということなのでしょう。
感想
ちきりんさんは、常に思考を張り巡らせていて、どんなことにも自分の考えを持ってる。
自分で考えられるようになると、知ってることがどんどん繋がっていって、何も知らずに旅するよりも何倍も何百倍も楽しめるようになることを実感しました。
私もそうなれるように、ちきりんさんの視点を少しでも取り入れるべく、以下の2つを意識していきたいと思います。
違いに敏感になる
イースター島で地球を感じたエピソード。
海の向こうの水平線と自分の立っている足元の海が遮るものなく同じ高さでつながっている。
さらにその海と自分が立っている大地はほんの一歩で乗り越えられる近さであり、自分の足元がそのまま水平線まで繋がっている。私の顔に吹き付ける風もまた水平線から吹きつけてきており、その間にはビルも山も何一つありません。自分の足元と水平線が視野の中でつながると、私は今地球に立っているという感覚が得られ、目の前に広がる大きな海を見ていると、私は太平洋の真ん中に立っているという実感まで浮かびます。
こんな風に、どうすごいのかを、行ったことがない人にも伝えられるでしょうか。
私だったら、ただ海と陸が近いなぁで終わってたかもしれません。
目に見える景色がいつもとどう違うのか。
景色の他にも常識の違いや価値観の違いなど、自分の周りにあるものの違いを血眼になって探す姿勢が私には必要だと感じました。
これは日頃から意識してないとできないし、知識がないとそもそも違いに気付けないことも多いと思います。
理由を分析する
なぜ美術館にはお国柄が表れるのか?
なぜ遺跡に魅力を感じるのか?
なぜ南欧諸国の人は旅行しないのか?
なぜビーチリゾートには特徴に違いがあるのか?
なぜベトナムのごはんはおいしいのか?
違いに気付けると、その違いが生まれた背景がなんでかを考えるようになる。
社会的背景、政治的背景、歴史的背景などなど、色んなものが組み合わさってることが多い。
だから知識があれば一層、思考を深めることができる。
そして思考を深めていくことで、さらに知識も深まっていくんだと思います。
自分の頭で考えるということ
違いに敏感になった上で、その違いが生まれた理由を徹底的に考え抜く。
このサイクルを繰り返していくことで、物事の解像度がぐっと上がる気がします。
これが結局、「自分の頭で考える」ってことなのかも。
いちいち考えるのは最初はちょっと面倒だけど、それをするだけで旅も、なんなら人生も、何倍も何百倍も楽しめるようになるなら、結局コスパがいいですよね。
あと、ちきりんさんはさらっと書かれていますが、モスクワの町で出会った男性とか喫茶店で出会ったビルマのお金持ちとか、現地で色んな方とものすごく積極的に交流されている…!
私も割とぐいぐい行く方ですが、まだまだでした。
声をかける行動力も、もっと鍛えていかねばと思いました。
福岡良子(ふくおかりょうこ)