きょうの記事はこちらです。
りょうこの翻訳?
石英、石灰岩、藻類が豊富な五大湖は、四季折々の色彩にも富んでいる。
2021年5月12日、NASAの衛星「Terra」に搭載された中分解能画像分光放射計(MODIS)が撮影したナチュラルカラー画像。
五大湖の緑と青の渦巻きは、生物学的、化学的、物理的な活動の融合を示している。
実際に観測してみないと何とも言えないが、この色は、
①副振動
②ホワイティングイベント
③堆積物の流出
④植物プランクトンや藻類の繁殖
などを示していると考えられる。
①副振動
風によって引き起こされる波のこと。
岸辺に水が溜まり、比較的浅い湖底の石灰岩の堆積物がかき集められる。
ランドサット8に搭載されたOLI(Operational Land Imager)が5月18日に撮影したロングポイント付近の写真は、おそらくそれを表しているのだろう。
②ホワイティングイベント
気温の変化に伴う水質の変化により、水面下に炭酸カルシウムの粒子が出てくる現象。
湖の中ほどで発生することが多い。
③堆積物の流出
岸の近くでは、春に河川から流出したカラフルな土砂が湖に流れ込む。
流れ込んだ水に含まれる栄養分を摂取した植物プランクトンや藻類は、通常、水が温められる6月~7月にかけて繁殖を始め、8月~9月にピークを迎える。
④藻類の繁殖
エリー湖の最西端で多く発生し、最も厄介なものとなる傾向がある。
5月上旬、NOAAの全米沿岸海洋科学センターは、今年は藻類の発生が少なくなるとする季節予報を発表した。
「3月と4月の雨とそれに伴うモーミー川の排出量とリンの負荷は、平均よりも低くなっている。
モデルは現在、深刻度が4.5未満である可能性を示している。
深刻度指数が5を超えるブルームは、一般的にエリー湖の飲料水やレクリエーションに大きなリスクをもたらす。」
記事からの考察
副振動は日本でも
副振動とは、気象現象が原因で、たった数分~数十分という非常に短い周期で海面が急激に変化してしまう現象。
気象津波とも言われるほど影響が大きい。
早い流れで魚の網が流される「網引き」に由来し、「あびき」という別名も。
わずか1時間以内に海面はなんと最大で157センチも変化したこともあります。
以前、記事にも書いてるので詳しくはこちらをご覧ください。
世界各地でも…!
「rissaga(スペイン)」,「marubbio(イタリア)」,「milghuba(マルタ)」等,
気象津波(meteo-tsunami)高野洋雄 https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2014/2014_06_0058.pdf
多くの固有名がある.
この他,従来は認識されていなかったが,北海,カナダ西海岸,南米等,世界各地に同様の現象が発生していることが近年明らかになっている.
よく高潮=気象津波に例えられますが、
本来は副振動=気象津波だったということもこの論文を読んで知りました。
新発見?
「アメリカの気象庁は“藻の予想”をしている」
有害藻類繁殖発生予報なんてものがあるとは。
上の翻訳部分にあった藻の予想についての内容は、このグラフが元になっているようですね。
赤色の部分が、今年の藻の発生強度予想を指数で表示したものです。
日本でも鍋物指数やおでん予報なんてものがありますが
アメリカではこんなことまで予想してるのかと驚きました。
それだけ藻の大繁殖がもたらす影響は大きいということですね。
2014年には、住民50万人が何日も飲用水を得られなかったこともあったそう。
日本では「水の華」とも…
日本では「水の華」なんて呼ばれている藻の繁殖。
以前、黒海の事例も取り上げましたが、副振動同様、世界で見られる現象なんですね。
この大繁殖を生み出しているのも元をたどれば人間。
人間が、農業や化石燃料の使用を通して窒素やリンを排出。
雨が降ると、こうした人間活動による窒素やリンが川や海に流入。
栄養過多で植物プランクトンや藻が大繁殖。
その結果、水が飲めなくなるなんて、皮肉なことですよね…
福岡良子(ふくおかりょうこ)