きょうの記事はこちらです。
りょうこの翻訳?
まるで絵の具を散らしたように描かれているのは、150年近い歴史を持つ熱帯低気圧の軌跡だ。
この図は米国国立ハリケーンセンターと合同台風警報センターによって、2006年9月までの全軌跡をもとに作られている。
この軌跡の蓄積により、最も激しい暴風雨が発生する場所や、ハリケーンの軌跡に影響を与える大規模な大気パターンなどがわかる。
例えば、フィリピン付近ではカテゴリー5(赤の表示)の暴風雨が何度も通過しているし
カリブ海やメキシコ湾ではカテゴリー3や4(オレンジや黄色)の暴風雨が頻繁に通過している。
一方で、赤道付近は青や薄い黄色で、弱い状態を示している。
赤道付近にハリケーンが存在しないことから、ハリケーン発生に重要な要因であるコリオリ力が説明できる。
コリオリ力は、地球の球形と自転に起因する。
空気が地表を直線的に移動することを妨げる代わりに、北半球では右に、南半球では左に空気を移動させる。
コリオリ力は極地で最も強く、赤道ではゼロになる。
赤道上では頻繁に雷雨が発生するが、低気圧の中心に突入する空気にはコリオリ力による回転がかからない。ハリケーンになるために必要な大規模な回転が発生しないのだ。
もう一つの特徴は、南西太平洋と南大西洋に熱帯低気圧が存在しないということ。
南米の西側では、チリ、ペルー、エクアドルの沿岸に沿ってペルー海流が北上しており、南の極地から冷たい水を運んでくる。
この冷たい海流は、ハリケーンには適さない。
同様に寒流であるベンゲラ海流は、南アフリカの西海岸、ナミビア、アンゴラを経由して流れており、これらの海域もハリケーンにとっては冷たすぎる。
ブラジルの東海岸沖の南大西洋は、風のシアー(高度によって風速や風向きが異なること)が強いなど、さまざまな理由からハリケーンには適していない。
ただ、2004年には、この地域で珍しい熱帯低気圧が発生し、ブラジルに上陸している。
また、この図では、ハリケーンに影響を与える一般的な大気の「舵取り」も見える。
熱帯地域では、は両半球で発生する卓越した東風に乗って移動する。
赤道から遠く離れた中緯度地域では、西風が多く吹いています。
この緯度まで生き残ったハリケーンは、しばしば東に戻って崩壊する。
記事からの考察
世界最低気圧の記録は昭和54年の台風20号
上の図からわかるように、日本付近にも最強ランクの赤色の表示がいくつか見えます。
これは日本の位置が大きく関係していると考えます。
世界でも有数の海水温の高い海域であるマリアナ諸島近海で発生した台風が進んでくる場所にちょうど日本があるのです。
暖かい海の上を長い時間かけて進んでくる間にどんどん台風が発達するため、マリアナ諸島近海で発生する台風は「エリート台風」なんて呼ばれることも。
その証拠に、世界で観測された最も低い気圧も日本の南海上で観測されたもの。
昭和54年の台風20号で観測された最低気圧は870hPa
死者・行方不明者115名にのぼり、北海道の東部では漁船の遭難が相次ぎました。
気象予報士の私が感じたこと
まず全軌跡を描いた図が画期的だということ。
台風は強さの基準も地域によって違いますし、そもそも世界の台風の全記録を比較したことがなかったので、どこにどんな強さの台風がどれくらい来ていたのかが一目でわかるこの図は本当に貴重。
そして改めて日本に来る台風の強さに驚きました。
日本にいるから台風の影響を受けるのは仕方ないと受け入れてはいたものの、
実はその強さが世界的にも最強クラスだったとわかると、改めて日本に来る台風の恐ろしさを痛感しました。
敵を知って己を知る。
この現実を知った上で、ご自身の台風対策を今一度ご確認いただければと思います。
新発見?
ブラジルに1度だけ上陸したハリケーンがある
2004年のカタリーナが唯一上陸したハリケーンのようです。
本来ハリケーンが発生しないエリアで発生していたというだけでも衝撃ですが、上陸していたなんてまさに前代未聞。
今回の記事を通してこの事実を知って驚きました。
でも、最近は状況が少し変化してきている模様。
海水温の上昇が要因となり、南大西洋で熱帯低気圧が増えているというデータがありました。
1980年から2018年までのデータをもとに、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が熱帯低気圧の増減を表したものです。
ブラジル沖はピンク色の表示で、わずかではありますが、増えていることがわかります。
日本では毎年のように「これまでに経験したことのないような…」というフレーズを聞くようになりましたが、世界的に見ても、これまでの経験が通用しなくなってきているようです。
福岡良子(ふくおかりょうこ)